【御前酒を形成する3つのコト】
地元の米と水で醸し、地元の方に愛される酒。原料の米は岡山県産にこだわり、大地の恵みである旭川の地下伏流水を汲み上げ、そのまま使用する。米、水、風土が混然一体となって酒の味となって現れる。
【コクとキレ】と【なめらかさ】の融合
酒質の特徴としては、岡山県南の瀬戸内の酒が甘口であるのに対して、すっきりとした辛口が持ち味である。それは、冬の寒さの厳しいこの地の人々が求めた味でもある。また、昭和45年頃から純米酒の製造にも積極的に取り組み、現在では製造数量の7割を占める。また、当蔵で40余年の熟練者であった前杜氏の原田 巧の後を引き継ぎ、平成19年より岡山県初の女性杜氏 辻 麻衣子が酒造りを行っている。蔵人も若返り、杜氏を盛り立てている。
【蔵独自の菩提酛】
従来の「菩提もと」の製法をベースに先代杜氏、原田 巧が試行錯誤を繰り返して御前酒の蔵に適した製法として生み出した新しい「菩提もと」。少量の米麹を水に浸け、乳酸菌を繁殖させ「そやし水」を作る。乳酸が大量に生成された頃に一度、加熱殺菌し安全性を高めてから仕込水として使う。
【雄町の日本酒】
いまや全国で偏愛といえるほどのファンも多い酒米「雄町」で醸したお酒。この雄町が背丈の高い2本の稲穂から始まった歴史をモチーフに、稲ロゴをあしらったラベル。雄町ならではの旨味と酸味とのバランスが絶妙なスタンダード純米酒。長期熟成することで、丸みを帯びた上品さも醸し出す。
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1859年(安政6年)、備前国上道郡高島村雄町(現在の岡山市中区雄町)の岸本甚造が伯耆大山参拝の帰路で珍しい品種の米を発見した。さっそく二穂を譲り受け雄町に持ち帰って栽培し、1866年(慶應2年)にこの新種に「二本草」と名付けた。 その後、雄町に良い酒米があるとのうわさが広まり、分けて欲しいという希望者が殺到した。岡山県南部をはじめ当地一帯で栽培されるようになり、米の名前もいつしか雄町の名をとり「雄町米」と呼ばれるようになった。
雄町米は、主に日本酒醸造に用いられており、全国でも栽培されているが、9割は岡山県産である。特に、岡山市、岡山市瀬戸(旧瀬戸町)、赤磐市赤坂町地区産のものが有名である。 雄町は優秀な酒造好適米として各地で交配種として使用され、山田錦や五百万石などの優良品種の親として重宝された。現存する酒造好適米の約2/3の品種は雄町の系統を引き継いでいる。
酒別/純米酒
原材料名/米・米こうじ
アルコール分/15度
米の品種/岡山県産「雄町」
精米歩合/65%
飲み方/◎冷酒 ◎常温 〇燗酒
日本酒度/+2
酸度/1.4
アミノ酸度/1.2